……マスター・ピース。「グラン・パルファム」と言っていいだろう。
ウッディ・フローラルだが、強さや甘さを表現するアルデヒドやヴァ二リンがないので、巷間言うような「濃艶」や「官能」とはちょっと違うと思う。フェミニンで華やかなボトル・デザインとネーミングで「食わず嫌い」を誘発してるとしたら、もったいない話だ。ぼくとしては「ムーラン・ルージュ」くらいの名称だと良かったような気がする。日本のキャバレー(『日の丸チェーン』笑)とは全然違うのだから。さもなくば、フランス語の発音に近く「カバレ」とでもすれば良かったかな。ゲランの「ランスタン」も、英語なら「ゼ・インスタント」で、とても購買意識をくすぐるとは思えないところを、フランス語発音でトクしてるんじゃないかな。
それはともかく…本作の、甘さを抑えた中に柔らかく酸が立つ香調は、ふんわりとしつつもコクがある(賦香率も関連するのだろう)。いわゆる「これでもか」と言わんばかりに激しく香り立つ、オリエンタルやフロリエンタルの「マダム系」とは全く違う。実はこれ、ぼくはメンズとして使っており、今回はリピで2本いただいたが、前述のような香り立ちなので全く違和感はない。メンズと考えると、季節は問わないと思う。また、オ・ド・パルファムらしくロング・ラスティングで、前日着たジャケットから残り香が漂って来たのには、少々驚いた。少なくともこの価格で買える作品ではない。既出のレヴューで男性の方が、香りが薄いと書いていらっしゃるのはなぜだろう。或いは、体の前面に付けられたのだろうか。そうすると嗅覚が麻痺しがちなので、香りが薄いように感じられたのかも知れない。ぼくは両の脇腹に数プッシュずつ付けてるが、帰宅後にジャケットを脱ぐと、生き生きとしたラストがふわりと漂う。
あと実際的なことでは、蓋が重い(35グラムもある)割に小さくてはめ込みが浅いので、やや操作性が悪いかも。
お店のご対応もいつもながら的確で、安心して買い物が出来た。複数のサンプルを入れていただいたのも、嬉しかった。