電圧・電流チェッカーを使って満充電から空になるまでの実放電容量を計測しました。その結果、通常放電で18400mAh(68Wh)、急速放電で16500mAh(61Wh)でした。公称の電池容量が30000mAhなので、実放電量と電池容量の比率が61.3%(通常放電)、55%(急速放電)となります。一般的なモバイルバッテリーの実放電量比は80~90%程度なので、明らかに悪い数値です。電池容量詐称の可能性を考え、空の状態から満充電までの実充電量も計測しました。結果は24600mAh(91Wh)でした。一般的に、充電の際にはエネルギー損失があるので、実充電量は電池容量以上になるはずです。計測結果から推測すると、この製品に搭載されている電池容量は20000mAh程度であると考えられます。つまり、容量詐称の可能性が高いということです。ちなみに、電池容量を20000mAhとして実放電量比を計算すると、92%(通常放電)、82.5%(急速放電)となるので、妥当な値となります。
さらに、この製品の重量も容量詐称の可能性を示唆しています。製品紹介ページにも添付の仕様書にも重量が不記載だった(これは通常あり得ないのだが)ので、秤で実測した所、378gでした。信頼できる他社製のモバイルバッテリーでは、10000mAhで170g、20000mAhで340g以上の重量があります。モバイルバッテリーの重量のほとんどがリチウムイオン電池で、その重量/容量比はほとんど変わらないはずなので、もし30000mAhの電池が搭載されていれば、この製品の重量は500g以上はあるはずです。しかし、実際は378gしかないので、やはり搭載されている電池容量は20000mAh程度だと推測できます。
ただ、三千円代で20000mAhのモバイルバッテリーが買えると考えれば、コスパ的にはそれほど悪くないと言えます。信頼できるメーカーの20000mAhの製品は五千円程度はするので、安く20000mAhの製品が欲しい場合はアリだと思います。しかし、個人的には容量詐称は許せないので星一つです。