……ボトルを求めて~
「フルエッセンス」の「フル」はfullではなくフランス語のfluor(フラワー)。フランス語的にはリエゾンして、フル・レサンスか。
テスター用の簡略な箱の表記によると、夏向きのヴァージョンとのこと。確かに英語なら「フラワー・エッセンス」との名称ながら、トップの若干の甘さもミンティなシャープネスが引き締め、パウダリィなくどさはない。これからの季節に年齢を問わず使える、爽やかなオー・ド・トワレだ。
ボトルの意匠と造りこみのレヴェルも大変高い。メタルの蓋がボトルと一体になり、その間にシリコンの伸縮性パッキンを噛ませてある。蓋を押せばそのまま吹き付けられる仕組み。この辺りの発想と具体化はさすがにヨーロッパの製品だと思う。ただボトルの鮮やかなピンク(と言えば『レオナール』だが、それに比べれば蛍光色を帯びる。その分、ややおもちゃっぽいか)は好き嫌いが分かれるかも知れない。
今回、同時購入したヴァルローズのシェル型ボトル(『オール・オブ・ミー』のフルボトル。こちらのレヴューもご覧いただけたら嬉しい)とは全く違う意匠ながら、それぞれ見るだけで楽しい仕上がりになっている。いずれもが千円台で手に入るのは、楽天ならではの楽しみだ。
デパートにはデパートの良さがある。たとえば伊勢丹「メンズ館」など、ファッション・ブランドではないヨーロッパの銘香が相当揃っている。同じく新宿本店のシャネル・ブースには珍しい型番の香りが勢揃いしている。それはそれとして極めて高い価値を持つが、まさかボトル・デザインが気に入ったからと言って、一万円からのフレグランスを次から次へと買う訳には行かない。そんな金があれるなら、お買い得のメドックでも買った方がいい。
そういう点から、楽天の「テスター売り」はとても面白いし、香りの幅がグッと広がる。代理店が扱いをやめた作品も沢山あるし、未知の香りとの遭遇も嬉しいじゃないか。